IXTEQ 代表 山崎 剛
山口県出身
1979年生まれ。
中学校時代はバレー部に所属。
厳しい練習を耐え
下積みをしっかりする根性が身についた。
2004年
広島の大学を卒業して山口の会社に就職。
福祉用具専門相談員として高齢者が使用する
ベッドや車椅子、手すりなどの
福祉用具の選定をする仕事に携わる。
打ち合わせから介護保険の申請、
取り付けまでワンストップで対応する。
例えば、トイレの手すりの取り付けでは
数センチのずれでトイレからの立ち上がり易さが違ってくるので
利用者さんが使いやすいように慎重に取り付けをする。
高齢になって体が思うように動かなくなった方にとっては
手すりを1本つけるだけでも、
日常生活のクオリティが格段に上がる。
人の手を借りずにご自分でできるようになったことに
喜びを感じられた瞬間、すごく感謝をされる。
気難しいと思っていた方とぐっと距離が縮まる
この仕事に魅力を感じる。
その後会社の事業拡大に伴い
中国地方の部署を転勤しながら
プレイングマネージャーとして
社内の人材育成や組織運営も経験する。
その際に産業カウンセラーの勉強もして
心理学的手法で部下を育成する手腕に定評があった。
2016年
福祉用具のベッド撤収の際に利用者さんの
お家の建具に傷をつけてしまう。
補修屋さんがきれいに補修されたのを見て
「これはすごい技術だ」と感動する。
これが補修技術(リペア)との出会いだった。
リペアの技術を身につけたいと思い、
早速、木部の補修3日間コースを神戸に学びに行く。
しかし、見るのとやるのは大違いでとても難しかった。
反面、難しい技術を習得できれば
価値があるものだと感じる。
2017年
1ヶ月住み込みで補修の技術を学ぶ道場に入る。
職人さんと現場に行ってなんとか
技術を身につけようと苦心する。
補修という仕事は、傷を直して仕上がりが良ければ
達成感があり、さらに人から評価も頂けるので
自己肯定感が高まる。
広島に帰ってからも
家で練習をしながら、辞めずに続けていたのは
補修を教えて営業が苦手な社員の
受け皿にしたいという思いもあったらからだ。
2022年
長年抱いていた、
いつか自分の力で人生を切り開いてみたい、
一度は経営者の世界を見てみたい
という想いを実現するため、
コロナ禍で先行きが見えない時期を
逆にチャンスと捉え起業を決意。
これまで20年勤務した会社を退職。
リペア職人として一歩を踏み出す。
独立と同時にこれまで
お付き合いのあった会社から
仕事がもらえることになり
月に45現場を一気にこなすようになる。
リペアの腕がめきめき上達し、
傷がきれいになったのを見たお客様が驚かれ、感動されている。
自分が努力したことが評価される瞬間に喜びを感じる。
今あるものを補修しながら大切に長く使うことは
ご家族の絆も深まり
SDGsにも繋がることなので
とてもやりがいを感じている。
今後は補修スクールを開催して
職人の養成にも力を入れていく。
山崎 剛の想い
リペアは結構忍耐力のいる仕事。
それでもこの仕事をやり続けたいと思う理由とは。
リペアは同じ場所で細かい作業をずっと集中してやる仕事ですし
そのお家の建具や床の色を合わせるのも本当に大変です。
熟練してくるとある程度手早くできるようになるので
簡単にできると思われるかもしれませんが、
できるようになるまでに長い時間をかけて努力をしてきました。
お家の傷が直った時、お客様が「あっ」と驚かれます。
お客様と一瞬で信頼関係が生まれる私の一番好きな瞬間です。
そして、場に温かい空気が流れてご家族が明るくなります。
お母さんとお子さんがすごく仲良くなる
シーンを見ることもあります。
好きなものがきれいになった視覚からの刺激で
人の意識が変わることもあると感じています。
リペアは単なる作業ではなく、
お客様に感動を与え、それをきっかけに生活に変化を
起こすことができる仕事なのでとてもやりがいがあります。
マナーを大切にしています。
私は長年、福祉用具専門の相談員をしていたので
利用者様のご自宅にお伺いすることがたくさんありました。
中には厳しい方もおられましたのでそこでマナーを鍛えられました。
挨拶はもちろんですし、礼儀正しくお客様と接することを
モットーとしています。
汚い靴下で訪問先のお家の廊下を汚してはいけないので
必ずお家に上がる前にきれいな靴下に履き替えます。
靴も脱ぎっぱなしにせずきちんと揃えておきます。
請求書をお送りするときも必ず手書きで感謝の気持ちを
書いた手紙を添えています。
こうした細かい配慮からお客様との信頼関係が
生まれてくると感じています。
できない壁を泣きながら乗り越えました。
正直に言いますと、私は不器用で、なかなかリペアの技術も
身につけることができなくて、
本当に泣きながらやってきた人間なんです。
仲間にけなされながらそれでも続けて、
できるようになった時に何か一歩乗り越えた感覚がありました。
それが“自分でご飯を食べていける”という自信になったのです。
私は現状にとどまるのではなく
いろんな発想が湧いてくるので新しい事業にも
チャレンジしたいと思っています。
こういう発想が生まれるのも
一つのことを続けたからこそなんです。
やっぱり途中で辞めたらダメだなって思います。
やり始めたことは何でもしがみついて続けることが大事です。
夢とか目標はすごく大事だけど、
私が継続できた根底の原動力は意地です。
“意地でも上手くなって人を感動させるんだ”
という思いがあったから
ここまで来ることができたのです。
補修は下地の処理がきちんとできていたら
仕上がりがよくできます。
人生も下積みが大事だなと感じています。
私はただお家の傷を直す作業だけを
したいわけではありません。
物は年数が経つと劣化したり壊れたりします。
お客様の思い入れのある大切なものが壊れて、
傷がついてしまったら悲しいですよね。
それが修復されて元のきれいな状態に戻ったら
嬉しいのではないでしょうか。
人も同じでどうしても年齢を重ねるとどこか体に
悪いところが出てきます。
お家の補修をきっかけにご自分の体の状態を
前向きに受け止めて、
「私もまだまだやれる」という気持ちに
なってもらいたいなと思っています。
私はサラリーマン時代、社員の成長のために
産業カウンセラーの勉強もしていました。
(産業カウンセラーとは心理学的手法を用いて
働く人たちが抱える問題を自らの力で解決できるように
援助すること)
ですから、会話をすることでお客様を元気に
したいという思いもあり、
作業中もお客様との会話を楽しんでいます。
愛着のある物を大切に長く使う。
今の時代、修理するより新しいものを買った方が安かったりします。
だけど、一度買ったものは愛着や思い出もありますし、
補修しながら長く使うことも大切だと思っています。
子どものおもちゃも壊れたら
すぐに新しいものを買い与えるのではなく、
“壊れたものを直して使う”ということを教育としてやっても
面白いなと思っています。